By whenis , 20 3月, 2018

北京の中心部に入るには、いくつかの門をくぐらねばなりませんでした。東直門、西直門など多くの門は、いま、地下鉄2号線の駅名となって、その名残りを留めています。地下鉄2号線は、北京駅から時計回りで行けば、前門、復興門、雍和宮などを回って戻ってくる環状線です。乗り間違いの心配はないので、北京観光の折には、ぜひ試してみるといいでしょう。

 さて、その宣武門のあった南の地域は、宣南と呼ばれ、古くから文化人や学者、そして京劇の俳優が住み、また商業の中心としても栄えました。故宮の一帯が皇帝やお役人の世界だったとすれば、宣南は庶民文化が花開いたところでもあったのです。

 その歴史が一目で分かるところが、北京宣南文化博物館です。もともとは、長椿寺というお寺でした

 お寺ができたのは1592年、明の時代です。時の皇帝は、長寿と健康を祈って、「長椿寺」という名前を贈ったそうです。そういえば、椿はなかなか枯れることがなく、いつまでも青々としていて、日本でも長生きのシンボルになっています。回族がたくさん住む牛街に通じる道は長椿街ですが、この名前もお寺から来ています。

By whenis , 19 3月, 2018

「三点半」、つまり三時半の意味ですが、この三時半は小学校の下校の時間をさしています。ですが、中国の現実を取り巻く環境は少々複雑です。現状として、家からかなり離れている学校に通っている小学生が多く、保護者の送り迎えが必要となる一方、三時半に学校へ出迎えに行ける保護者が限られているという現実があるからです。そして、これが今回の両会議で熱く議論される話題にもなっています。

 中国の家庭は共働きが多いので、三時半というのは非常に中途半端な困った時間になります。そんな状況の中、保護者の委託を受けて学校まで子供を迎えに行き、預かってくれる有料の「托管班(放課後託児クラス)」が出てきました。そして、保護者が会社勤務を終えて迎えにくるまで丸々2時間以上あることから、この「托管班」で習い事をする子も多くなっています。この「托管班」は、日本の塾のような大きな組織の中でやっているところもありますし、個人が運営しているところもあります。勿論、それなりの費用がかかります。

By whenis , 18 3月, 2018

「班额」は小中学校の学級の定員を意味する言葉です。中国の小中学校の一学級の定員は一般には35人から45人なのですが、一部の学校には「大班」と呼ばれる定員46人から55人までの大きい学級、「超大班」と呼ばれる56人から65人までの更に大きい学級、さらに、もっと人数の多い「特大班」と呼ばれる66人を超える特別に大きい学級が存在しています。

 この「大班额」の出現はここ数年のことではなく、10年前から話題になっています。2016年の調査では、全国には義務教育段階で「大班额」の基準を満たす学級が45万学級あり、全学級数に占める比率は12.7%、もっと大きい「超大班额」の基準を満たす学級が14万学級ありました。ですが、これは2015年と比べると少なくなっており、「大班额」の学級が4万学級、「超大班额」の学級が3万学級、それぞれ減少しています。

By whenis , 16 3月, 2018

路東之さんは1962年、北京生まれの画家です。幅広い活動をしている芸術家といってもいいでしょう。学生時代には数多くの美術展に出品して入賞したほか、ルポルタージュも手がけ、中国作家協会のメンバーにもなっています。その路さんが、運営しているのが古陶文明博物館です。北京の古い町並みが残る宣武区右安門内西街にある小さな博物館です。

 ここに展示されているのは、新石器時代から秦、漢の時代にかけての泥細工、瓦(かわら)、陶器です。収蔵品は3000点。このうち、2000点ぐらいが並んでいるそうです。初期のかわらには鳥や動物の姿がかたどられていますが、やがて、太陽や宇宙を連想させる模様も登場します。こうした模様は権力者の象徴、つまり、権力者の家でなければ、かわらは使えなかった、ということでしょう。  

 陶器は、水や酒を入れる容器、食器など生活用品に使われました。その後は、門の扉の部分やお墓にも利用されるようになりました。展示されている一つ一つを見ながらホールを歩いていくと、はるか昔の庶民の生活ぶりがしのばれます。

 他の人が感じられないことをやっていくのが、芸術家の役割であり、仕事だと路東之さんは言います。そして、この博物館は、来年、開館10周年を迎えます。

By whenis , 14 3月, 2018

憲法改正に合わせる形で立ち上げられた、中国全国の党機関・政府機関を対象に監察を行う組織です。これまでと違うのは、この監察委員会は共産党や政府に属さない国家監督機関となることです。

 憲法改正にあたり、党中央委員会から出された「中国共産党中央委員会による憲法の一部内容の修正に関する意見」は、合計21項目の修正意見からなり、その中で「監察」に言及したものはなんと11項目にも上り、その中で、 新しくこの「監察委員会」の設置が提案されています。ちなみに、2月25日の時点で、既に全国31の省・直轄市・自治区において、早速三つのレベルの監察委員会が立ち上げられ、監察体制の整備に向けた取り組みがスタートしています。

 今回の監察体制改革の起草に参画した中国政法大学の馬懐徳副学長の話によりますと、国家監察委員会は党の機関ではなく、党の機関と協力して作業を進める機関であるとされ、かと言って政府の機関でもなく、政府から独立して、政府と平行する機関として設立されるとしています。こうすることで、国家全体を監督する機関としての立ち位置を作っているのです。そして、この機関の設置は重要な行政改革の一部で、政府や裁判所、検察機関の活動をも監察する機能があります。

By whenis , 11 3月, 2018

「修宪」は「修订宪法」の省略形で、憲法改正を意味します。先日5日開幕した全人代(全国人民代表大会)では、憲法改正の議論が行われています。

 現行の憲法は中華人民共和国にとって第四版に当たる憲法で、1982年12月4日、第五回全人代で採択され公布されたものです。公布から現在に至るまでに1988年、1993年、1999年、そして2004年と四回の改正を経ていますので、今回は五回目の改正に当たります。

 中華人民共和国は1949年に建国され、初めての憲法は1954年に公布されたもので、その後は1975年、また1978年、そして1982年にと、それぞれ新たなバージョンを発表してきました。

 今回の改正の理由については、中国共産党の党規約の改正と同じように、これから中国が「新時代」を迎えるにあたり、改革を断行していくことを方針化したものとなっています。今回の憲法改正は、そうした改革の必要に合わせたものになります。

 時代の変化に合わせて一つの国が動き出す姿を、私たちはこの目で目撃していることになりますね。

By whenis , 10 3月, 2018

「编制」は動詞として用いる場合、編む、編成する、制定する、立案する、作成する、編集するなどの意味がありますが、名詞の場合、広義と狭義でちょっと違った意味合いがあります。

 広義の「编制」は各種機関の部門設置基準、並びにその定員、部門構造と職務職権の割り当てを指します。一方、狭義の「编制」は主として政府事業セクターの「正規雇用採用枠」を指します。国家組織の機能を成り立たせるために、政府やその関連機関や関連部門をはじめとし、特に国家予算で事業を運営する団体、組織、部門、部署内部の定員、構成比率及びポストの枠を指す言葉がこの编制な訳です。もっと簡単にいうと、国の予算で賄う範囲に属する人々の採用枠といえば良いでしょうか。日本でも、国の人事部門が管理する公務員やそれに準ずる待遇の人もいれば、それぞれの組織で雇用された契約スタッフもいるように、この编制に似た制度が存在しています。

By whenis , 8 3月, 2018

日本語で「両会議」と訳される「两会」は、中国で毎年3月に開かれる全国人民代表大会と中国政治協商会議のことを指した略語です。今回のキーワード「两会调查」は、中国共産党の機関紙である『人民日報』傘下の人民ネットが2001年から行ってきたアンケート調査で、両会議でどんな内容を議論してほしいかについて一般ユーザーに聞くものです。今年は初めて民間のニュースアプリ「今日頭条」を唯一のスマホプラットフォームとして指定し、2月8日にローンチしました。2月27日午後3時現在でアンケートに答えたネット利用者は421万2368人に達しているということです。

 今回のアンケートには18の選択肢が用意され、中でも、腐敗取締、社会保障、教育の公平さ、医療改革、貧困扶助、居住制度、改革開放、金融リスク、就職収入、法に基づく国家管理が関心事のトップ10に並びました。

By whenis , 7 3月, 2018

「节后用工荒」の「节后」と同様に、この「节后」も春節後の意味です。「缩水」は(洋服の生地が)縮むという意味。「节后缩水」は春節後、衣服が縮んだ・・・ように見えて実は、春節期間に太って、服が入らなくなった、という意味になります。

 中国では、春節の食卓には肉も魚がたーっぷりと並び、年始回りや親戚、友人、同級生などの集まりは、そのほとんどがそうしたご馳走を食べることから始まります。さらに、そうした環境で「食べない、飲まない」というスタンスを保つことにはかなりの難度を伴います。「付き合いがわるい」とか思われるリスクは、人付き合いの色々なところに響きますから、どうしても流れに呑まれてしまいがちです。その結果、むくむくと「発育」が進むわけです。

 さて、この縮水ですが、みんなが面白がってイメージを膨らませたことから、人間以外のところでも使われるようになっています。

By whenis , 6 3月, 2018

「节」はそもそも「节日」記念日、祝祭日の意味ですが、ここでは、特に春節を指します。「用工」は労働者を雇用するという意味で、「荒」はここでは不足、欠乏の意味で用いられていますが、これは何かの後に廃れる、荒廃する、というイメージで捉えるとわかりやすいかもしれません。そして、それらを組み合わせて「节后用工荒」として、「春節後の人手(労働力)不足」を指す言葉になります。

 北京などの大都市では、春節の少し前になると、特にサービス業や建築業に従事する出稼ぎの人が帰省してしまうために人手不足になるがよく知られていますが、その連休が過ぎてもなかなか彼らは北京に戻らず、この人手不足をひき起こします。