老舎記念館(下)
Submitted by whenis on 金, 07/06/2018 - 13:15「老舎記念館」の張文生さんの案内で、中の散策を続けましょう。正面の母屋は生活の拠点でしたが、両脇の部屋には、老舎の足跡や作品が並んでいます。老舎が苦労して学校を出たことは前回、お伝えしましたが、最初から小説を書いたわけではなく、北京や天津で教育の仕事に携わりました。1924年から5年間は、イギリスのロンドン大学東方学院に招かれ、中国語を教え、ひまを見つけては創作活動に取り組みました。
1930年に中国に戻った老舎は、山東省の大学で教鞭をとり始めました。夫人と知り合ったのもこの時代。職業作家としてはじめて取り組んだ作品「駱駝祥子」もこのころのものです。この作品は日本でも翻訳、出版されており、映画も公開されました。舞台は旧社会の北京です。農村育ちで身寄りもない祥子が、北京に出てきて人力車夫になります。必死で働き、お金をため、底辺の生活から脱出を果たそうとする祥子。しかし、次々に襲ってくる悲惨な運命。人をけだもののように変えた旧社会を強く非難するメッセージを発した作品でした。
張文生さんによりますと、老舎は生涯で900万字にのぼる作品を残したそうです。それがすべて、出版されているわけではありません。抗日戦争の多くの文芸作品を書き、新中国成立後は新劇作品にも取り組みました。いま、彼の作品は38カ国語に訳されているそうです。