表現方法
高い理想を掲げる学習者たちが「達人」を目指して日々切磋琢磨する「発音」と「語彙」。それだってこの程度のものでしかありません。もちろん発音は正確であればあるほど良く、語彙数は多ければ多いほど良いことは確かなのですが。
何を隠そうワタクシもそのような一人でした。徹底して発音を矯正し、ひたすらボキャビルに励んでいました。今になって回顧してみると、正直な話、すごい無駄なことをしていたな、と本当に思います。
言語は人の意思を伝える媒体です。最も重要になるのはその「内容」であり、その「表現方法」です。
発音や語彙は「表現方法」の一部分でしかありません。たとえどれだけ発音が美しく、また語彙が的確だったとしても、それがTPOにふさわしくない、非常識な表現であったらすべてが台無しです。
日本と中国では同じ場面でも正反対な表現をすることがしばしばあります。例えば、贈り物をする場合、日本では「たいしたものではございませんが」とか「つまらないものですが」という枕詞を使うのがセオリーですが、中国人にそんなことを言ってプレゼントを贈ったら、その中国人は間違いなくキレるでしょう。