社会人中国留学のための中国語学習プラン実践編 「文法は社会人学習者の強い味方」

皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。

私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

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前項「社会人中国留学のための中国語学習プラン実践編 「発音を身につけろ!」」では中国語の習得において最も重要となる発音の学習プランについて考えてみました。

その中で最後に次のように述べました。

発音が軌道に乗るまでの間、コマギレ時間はリスニングは控えめにして、文法書を通読しておく方がよいでしょう。

文法ばかり先行してしまうと文法頭でっかちになって会話学習の障害になるのでは、という心配をされる方がいるかもしれませんが、会話力と文法知識の関係は割り切りが肝心なだけで、文法的知識が会話能力の足を引っ張ることはありません。

成人後の外国語習得における文法の重要性を考えれば、文法書を通読しておくのは何かと有用なのです。

本項はこの「成人後の外国語習得における文法の重要性」について考えてみたいと思います。

文法なんか必要ない?
文法は語学界の嫌われ者です。「日本人が6年も英語を勉強してるのに満足に日常会話すらできないのは文法ばかり勉強しているせいだ。現に文法の勉強をやめたら話せるようになった学生がいっぱいいる」なんて感じで徹底的に排除されています。

これが中国語にも波及して、「中国語も英語と同じく語学なんだから、英語で文法がいらないなら中国語だって文法なんか必要ない」という意見も一部に見られますが、これはとんでもない勘違いです。

ではなぜ英語で文法をやめたら話せるようになった人がいるのか......これは英語教育のゆがみに由来します。

学校英語の後遺症
日本の英語教育は長く「文法」と「読解(和訳)」に重点を置いてきました。文法をしっかり学び、それに基づいて読解と和訳を行っていきます。発音はどうでもよく、リスニングもレッスンの始めに数回テープを聴く程度でしかありません。

この延長にあるのが大学入試です。大学入試で問われる英語とは「文法・語彙・読解」力です。よく「受験対策英語」と揶揄されますが、この三点で評価されるのですから学習内容がこの三点に偏るのも無理はないと言うものでしょう。

会話練習なんてほとんど行いませんから話せるようになる訳がありません。そこで冒頭の「日本人が6年も英語を勉強してるのに満足に日常会話すらできないのは文法ばかり勉強しているせいだ。」という批判が出てくるのです。

しかしながら、この批判は正しいと言えば正しいのですが、その後についてくる「文法の勉強をやめたら話せるようになった学生がいっぱいいる」という表現は誤解を生みやすい問題発言(笑)でしかありません。

会話ができるようになった学習者は文法の勉強をやめたから話せるようになった訳ではなく、会話の練習をはじめたから会話ができるようになったのです。

文法はすでに嫌と言うほど勉強してきています。実際に口語の運用に必要になる文法は簡単なものが中心なので、会話という観点から言えば、すでに文法を学ぶ必要がなくなっているだけなのです。

恥をさらしますか?
では英語が大の苦手で、文法知識もほぼゼロ、という学習者がこの文法無視学習メソッドを実践するとどうなるでしょうか。

話せるようになるとは思います。フレーズ丸覚えですが。あいさつは問題ないでしょう。フレーズで十分対応できますから。

ただ、これがちょっとした内容のある会話になると途端にボロが出て来ます。過去表現、未来表現、能動表現、受動表現、単数複数の変化......むちゃくちゃな表現になるでしょう。

でも、通じることは通じます。コンピュータではないのですから、聞き手側も会話の置かれている状況、前後の文脈等から瑕疵のある部分を補いながら理解します。

日本語で喩えるなら助詞「は」が「を」になったり、「に」が「が」になったりするようなものです。「私【を】おなか【へ】減った。」と言われたたら、はじめは戸惑うでしょうが、会話を重ねていけば何を言おうとしているのかぐらいはわかるものです。

もしこれでもよければ文法なんかどうでもいいのかもしれません。

しかしながら、ビジネスやその他かしこまった場面では、これではとても使いようがないと言うもの。日常会話だけだといっても、いつまでもこのレベルでは恥さらしにしかなりません。

会話に限って話をすすめてきましたが、これを読解や作文にまで広げるとしたら文法なしでは如何様にもなりません。文法知識ゼロでは文の構造がつかめません。特に作文は会話と違って文法の瑕疵が非常に目立つものです。文法がめちゃくちゃな文章は笑い話のネタにしかなりません。

語学は会話に限るものではありませんから、文法なしでは外国語の習得はとてもじゃありませんがおぼつかないのです。

文法は非常に強力な武器
文法がマイナスになることはない理由を中心に話を進めてきましたが、実は、文法は語学においてマイナスになることはないのみならず、特に成人後の外国語習得において非常に強力な武器になることはあまり注目されていない事実です。

文法否定論者がよく喩えに引くものとして「ネイティブは文法なんて勉強しない。」「我々日本人も文法を意識することはない。」という理論?があります。

確かにネイティブスピーカー(日本人の場合は日本語)は文法を学ぶ前の段階で簡単な会話をマスターします。これには間違いありません。しかし、これは「幼児期から当該言語に接していること」、「当該言語漬けの生活を送っていること」という前提の上で成り立つもので、成人後に外国語として中国語を学ぶ私たちには当てはめようがあまりません。

言語習得において生理的なアドバンテージがある幼児が、四六時中言語漬けの中で行っている方法を、言語習得能力が格段に落ちており、且つ一日数時間程度しか学習することができない成人後の学習者に実践させる方が無茶というものです。

また、成人は生理的言語習得能力は幼児に及びませんが、その一方で論理的理解力は幼児とは比べ物にならない能力を持っています。文法とは言語における一定のルールを規範化したものですから、言語という掴み所のないものを理論的に理解させてくれる、成人にとっては非常に強力な武器でもあるのです。

中国語の文法はシンプル
幸いなことに、中国語を運用する上で学習すべき文法項目は英語に比べずっと少なくなります。

文法書を通読するのもそれほど苦にはならない程度の分量でしかないので、まず始めに文法をざっとで良いので眺めておくことをおすすめします。

電車の中でもよいので、文法書を通読する中で日本語、英語とどのような差があるのか頭の中で理解しておくとよいでしょう。

一歩踏み込んだ文法はテキストに沿って行えばよいので、暗記とかはしなくてもよいのでまず中国語文法の全体像を理解しておきましょう。

市販されている文法テキストについて、特に入門初級レベルの文法テキストをピックアップしてみましたので参考にしてください。

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