1. 日本語における対応する成語・表現
「楽極生悲」に最も直接的に対応する日本語の成語は 「楽あれば苦あり」 です。
また、非常に似た意味を持つ表現として、「笑う門には福来たる」の反対、つまり「喜びが頂点に達すると悲しみが訪れる」という意味で 「喜び悲しみは表裏一体」 と言うこともできます。状況によっては、結果を強く示す 「頂点は転落の始まり」 という表現も使われます。
2. 「乐极生悲」の中国語ピンイン
lè jí shēng bēi
3. 出典と故事
「乐极生悲」の出典は、中国前漢時代の歴史書 『史記・滑稽列伝』 です。
典故:
戦国時代、斉の国の威王は、長い間政事を顧みずに酒宴にふけり、国政が乱れていました。ある時、賢臣の淳于髡(じゅんうこん)が風刺を込めて威王に問いました。「王様、大きな鳥が宮廷にいるのに、三年も飛ばず鳴きもしない。これはどういう鳥でしょうか?」と。威王はその真意を悟り、「この鳥は飛べば天に昇り、鳴けば人を驚かすだろう」と答え、政治改革に乗り出しました。その後、国は大いに栄えました。
ある祝宴の席で、威王が淳于髡に「先生はどれだけ酒が飲めるか?」と尋ねると、淳于髡は「相手や状況によって変わる」と答えました。そして、「『酒極まりて則ち乱に至り、楽極まりて則ち悲しみに至る』(酒が頂点に達すれば混乱に至り、楽しみが頂点に達すれば悲しみに至る)。万物はみなこうした道理にかなうものです」と戒めの言葉を添えました。この故事から「乐极生悲」という成語が生まれました。
4. 例文と説明
例文1:
勝利に酔いしれて対策を怠ったため、次の試合で大敗した。まさに 楽あれば苦あり だ。
(しょうりに よいしれて たいさくを おこたったため、つぎの しあいで たいはいした。まさに らくあればくあり だ。)
説明:
この例では、勝利(楽)という最高の状況に浮かれて気を緩めた結果、次の試合での大敗(苦)という悲しい結果を招いています。成功の後にこそ気を引き締めなければならないという戒めを表す典型的な使い方です。
例文2:
長年の夢が叶って最高の喜びに包まれていたが、その直後に大切な人を失った。 楽極生悲 とはこのことだ。
(ながねんの ゆめが かなって さいこうの よろこびに つつまれていたが、その すぐあとに たいせつな ひとを うしなった。 らくきょくせいひ とは このことだ。)
説明:
この例では、人生の「喜びの絶頂」(楽極)の直後に、それと対極の「深い悲しみ」(生悲)が訪れたことを述べています。日本語の文脈では中国語の成語をそのまま引用して、人生の劇的な変化と幸不幸は紙一重であるという感慨を強調しています。
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