烽火で諸侯を弄くる・ことわざ

皆さんこんにちは、「songyun.org中国語教室」というコーナーを始めました。このコーナーでは中国に関する知識や中国語の勉強方法などをご紹介いたしますので、このウェーブサイトを有効にご利用していただき、この中国語教室が皆様のお役にたちますように心より願っています。

私も日々日本語と英語を勉強していきたいと思っておりますので、今後とも、よろしくお願いいたします。

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   中国歴代の封建王朝では、王が国の最高支配者であり、至高無上の権力のもつ。しかし王が国家権力を遊び道具とし、身勝手なことばかりしていると、いつかは必ず自らを滅ぼしてしまう。

   周の幽王は紀元前8世紀の周王朝の最後の王である。彼は暗君であり、国政などはそっちのけで、毎日後宮で美女たちに囲まれて暮らしていた。幽王は妃の中でも特に褒姒を可愛がり、彼女の願いならなんでも満足させていたが、褒姒はなんといつも憂鬱な顔をしてめったに笑顔を見せない。そこで幽王は彼女を笑わせるため、色々とやってみたが、そうすればするほど褒姒は悲しい顔した。これに幽王はひどく頭を痛めていた。
 
   と、ある日、幽王は遊びに褒姒を連れて外出し、驪山の烽火台へとやってきた。幽王は烽火台の役目を彼女に説明し、これは戦が始まったことを知らせるためにあるものだと教えた。当時国境から帝都の間には、一定の距離を置いて高い烽火台が建てられ、日夜兵士を見張りにおき、もし敵が辺境を攻めてくれば、この烽火台にいる兵士はすぐに烽火を上げて次の烽火台に知らせ、これによって、辺境での出来事を帝都にいち早く知らせるのだ。そして帝都が危うくなるとこの驪山の烽火台でも烽火は上げられ、周王朝に帰属する諸侯たちに知らせて、援軍を出させるのであった。
 
   一方、幽王の説明を聞いた褒姒は、こんな古臭い土台が、遥か千里から援軍を呼べるとは信じなかった。しかし、幽王は褒姒を喜ばせるため、烽火台の兵士に烽火を上げろと命したので、烽火は次々に上がり。これを合図に各地の諸侯たちは。帝都が危ないのだ信じ込み、それぞれ軍を率いて救援に出向いた。
 
   ところが各諸侯が必死になって驪山にやってくると、なんと幽王と妃が台の上で酒を飲んで遊んでいるだけで、敵などどこにも見当たらない。弄られたと分かった諸侯たちは、相手が幽王なので怒り出すこともできず、ブリブリ怒りながらも兵を連れて帰っていった。これを見た褒姒は、いつも胸を張って堂々としている諸侯たちが、狼狽して帰っていく姿を可笑しく思い、微かに笑った。これを見た幽王は自分の愛する妃が笑ったので、大いに喜んだ。そこで諸侯たちが帰った後、幽王はまた烽火をあげよと命じたので、諸侯たちが慌てて再び兵を率いやってきたが、またも幽王と褒姒に騙されたと知って顔をゆがめた。そのざまを見た幽王と褒姒は笑い転げた。このように、幽王は繰り返し烽火を上げさせ諸侯たちを弄ったので、ついに烽火が上がっても誰一人来なくなったのである。
 
   のちに、幽王は褒姒を皇后に封じ、褒姒の息子を太子にするため、時の皇后と太子を廃した。だが廃された皇后の父は申の国王であり、これを知った国王は自分の娘が廃されたことに激怒し、他の国と連合して周を攻め立てたので、慌てた幽王は各諸侯からの援軍を呼ぶため、烽火を上げさせた。
 
   しかしもう諸侯たちは幽王のことをすでに信用しなくなっていた。いくら烽火が上がっても、救援に来る諸侯は誰一も人いない。こうして帝都はほどなく攻め落とされ、幽王は殺され、褒姒は捕まり、周王朝は滅びたのである。
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